そばの茹で汁のことです。そばを食べた後にそば湯を飲む習慣は、もともと信州の一部地方で行われていたもので、江戸ではまだ一般的ではありませんでした。その頃江戸では、そばを食べた後は豆腐の味噌汁を飲むという習慣が一般的だったようです。そば湯を飲む習慣が江戸に入ってきたのは18世紀中頃だったといわれています。寛延四年に、江戸の日新舎友蕎子という人物が書いた「蕎麦全集」には、信州に行った際にそばを食べ、食後に出されたそば湯は江戸にはない風習だったため感心した、という内容の記述が残っています。信州では、そば湯は消化を助けてくれるものとして飲まれていたのです。